思考の幅は、優れたアイデアです。使っていると分かります。
もくじ
思考の幅
思考の幅というアイデアは、『あの人はなぜ、東大卒に勝てるのか』という本で触れられているものです。
この本では、データ/検索が充実した現代では知識の価値は低くなっており、むしろ自分の頭で思考することに価値があると説かれています。思考の幅を広げようとすると、下記の公式が大事になります。
思考の幅 = 経験 × 分解力 × 再構成力
まず現実/経験があり、それをパーツに分解します。そしてそれを仮想的に再構成することこそが、思考の本質です。引越しをする際に多くの人は、部屋の間取りを確認して (=現実/経験)、ベッドや机といった「家具パーツ」のサイズも確認して (=分解)、紙面上で部屋にモノを配置してみる (=再構成) はずです。
現実/経験は、思考の土台です。何も経験をしていない赤ん坊が何も考えられないように、経験の幅が小さいと、思考の幅も自然と小さくなります。部屋の間取りも知らずに、引越しをすることはできません。一般に、好奇心を持って、失敗を恐れずに世界を広げ続けることが大切です。
分解力は、経験を応用可能なパーツへと切り分ける力です。経験を定量的に、因果関係で捉えること (あるいはアハ体験を得ること) と言い換えることもできます。家具を、どうパーツに切り分けるかがこれに当たります。家電、服飾、寝具…と切り分けられるかもしれません (もっと細分化もできるでしょう)。ある人がパソコンを一つのパーツとして捉える一方で、ある人はディスプレイをパソコンとは異なったパーツと捉えるかもしれません。
再構成力は分解された個々のパーツを、筋が通った形で組合せる力です。家具の配置を紙面上で試す際、パーツとなる家具は色々なものを (仮想的に) 試すことができます。その一方で紙面上とはいえども、パーツ (=家具) 同士は重なりあってはいけない等の、守るべき筋があります。一般に、人に説明できないような思考は、思考の体をなしていません (それは思考もどきとでも呼ぶべきものです)。
AIの台頭が叫ばれている世の中ではありますが、汎用AIの登場はまだまだ先です。現在のAIが実現できているのは、極めて限られた条件下での最適解を求めることだけです。また、自分の頭で考えている人というのも世界ではごく少数です。こういった状況の中に、思考の継続した優位性を見出すことができます。
何より、思考は (ほぼ) 無償でオプションを増やす効用があります。つまり、思考することで、①トラブルに対する耐性と、②チャンスに対する積極性を得ることができます。
(なお上述の「思考の幅」の公式は、『論理哲学論考』という本の考え方をミックスしたオリジナルです。『あの人はなぜ、東大卒に勝てるのか』では、「情報量×加工率×発想率」という定義をしています)
津田久資
前述の『あの人はなぜ、東大卒に勝てるのか』を書いた津田久資さんは、面接対策のバイブルである『ロジカル面接術』を書かれた方です。
他にも本を何冊か出されていますが、「論理とは何か」と頭でっかちな議論をするのではなしに、実用的な考え方を述べられることが多いです。津田久資さんの考え方の根底は『あの人はなぜ、東大卒に勝てるのか』で述べられており、他の著作ではその応用例や具体例が記載されているというイメージです。
まとめ
思考の幅は優れたアイデアです。つまり、このアイデアを知り、実行した瞬間に得をします。そして、これが広まれば広まるほど、世界が良くなります。